慢慢的(マンマンデ・ゆっくりいこうヨ)の中国人ではありますが、勤勉な点では定評があります。あきずたゆまず努力し、血のような汗を流しながら基礎を築こうとします。中国が、いま経済大国になっているのもそういった環境もあるのでは、と思います。
華僑の人は一面、「知足」(足るを知る)の精神が徹底しています。自分のキャパを知っていて、その線まで来たらピタリとやめる。ある種、運命主義者であり、それ以上無理なことは気を使いません。サラッとあきらめてしまい、未練がましいことは言いません。
華僑の持つゆとりは努力によって培われ、また知足と没法子(メイファーズ・しかたないなあ)が常に裏にあります。
千年、二千年の歴史を紐解けば、槿花一朝(キンカイッチョウ・朝顔の命は一日だけの命)の夢で、いかに権勢をほしいままにした王朝でも必ず滅ぶものです。
「五十年か百年か、少々の違いはあっても千年もたってみれば、たいしたことではない。」
と、華僑の人たちは心の底のどこかで考えています。
彼らは、絶えず利益の追求に頭を使いますが、反面、たとえ全てを失ってしまったとしても仕方あるまい、と考えている。大きな歴史の流れから見ればどうってことはない、決していつまでも愚痴をこぼしたり人を恨んだりはしません。
ましてや、自国を離れ、何の援助もなく、風に吹かれるままに見知らぬ国に飛んでいくのです。野生の強みで根を張ろうとするバイタリティは持ちます。衣食住の生活から、結婚、商売まで自分でかたづけてはいきます。しかし、営々として築いた自分の城が社会情勢の変化などで、一朝にしてフイになったところで、あきらめればいいとかんがえています。一晩や二晩は愚痴をこぼすこともあるでしょうが、そのあとはサッパリして、
「ハイ、この話はもうおしまい!!」
と宣言し、そのあとは二度と口にしません。
日々是好日。この裏には、人間の力ではどうにもならない限界があるということを知る、ということがあります。そう割り切ってしまえば、たかが会社の一つや二つ、潰れてしまおうが、不渡りを出そうが、また、失恋しようが、
「しかたないなあ」
と、心の平静を保っていることもできます。この心の平静が、次への新しい展開をするためにはどうしても必要なのですね。
ちなみに、AIさんに没法子に関する面白エピソードありますか?と尋ねると「ありません」と言われましたが、面白い回答をくれたので、今回はこれを最後に紹介します。
(AI)華僑の商売理念やビジネス脳については、いくつかの記事があります。華僑は物の商売より人の商売をするという考え方を持っているそうです。また白手起家(ゼロからことを起こす)、四海為家(世界中が自分の家)、落地生根(その土地にしっかり根をはる)、入郷隋浴(郷に入れば郷に従え)、衣綿還郷(故郷に恩を返す)という5つの理念を大切にしています。これらの理念は、日本の営業人にとっても参考になると思います。