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華僑と中国の人々(11) 無駄を嫌うケチ?

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 いかにカタい人でも営業上の顔つなぎや打合せなどで接待を受けたり、時には席を設ける側にまわることもあるでしょう。昔に比べると接待も少なくなってきているようですが、これは対人関係を滑らかにし、仕事をスムーズに、有利に進めるためには必要ともいえるでしょう。

 普段は無駄を省いている華僑も、いったん商売上のお客を招くとなると、充分に気を使い、豪勢にし、かゆいところに手が届くようにする。いわゆる大盤振舞いも辞するところではありません。しかし、ここからが違います。

 日本人を客にした場合、日本流に手土産を出しますが、できるだけもてなし側の分は出さないようにしますし、お土産の品もより安く入手しようとします。仲間の誰かが扱っている商品にするか、そうでなければとことん買いたたきます。場を設ける側が個人ではなく団体の場合であっても、個人が買い付けるのと同じ熱意をもって値切ります。手土産が一つでも残ったら、引き取らせることを確約までしています。

 また、お客を車に乗せて帰すにしても、少しでも率のいいところ、サービスの行き届いたところを探し出します。輪タク(人力三輪車のタクシー)のある国だったら、客を待たせておいて、ゆっくりと値段交渉をします。「あれだけ景気よく騒いだんだから、なにもタクシー代くらいケチらなくてもいいんじゃない。」と思うのは日本人くらいなもので、客が華僑だったら値切っている光景を面白いように眺めます。値切り方がうまければ、「いい商売人だ」と再評価してくれます。どんな商売であろうと自分の仕事に熱心なら「適当な」値を見つけることに努力するのは当然の事だからです。

 こんな時のチップにしても、客の前をとりつくろって「お釣りはいらないよ」などとはやりません。いったんお釣りを受け取ってから、相手のサービスに見合うだけのものを別に出すのが華僑です。

 使うべきところではパッと使い、必要のないところでは一銭の金をも惜しみます。実に合理的。使うか、シマるか、それを決めるのは見栄や外聞ではなく、利口な計算によります。

 東南アジアの華僑経営のナイトクラブでは、中国酒は1本ずつ買わされますが、残った分は何も言わなくてもアテといっしょに紙につつんでくれます。ホテルに泊まっている場合など、そこのボーイにでもあげると、また変わった情報を提供してくれることもあり、たとえ家に持ち帰らなくとも無駄にはなりません。

「そんなもの、おかしくって」

と断ったところで、ナイトクラブのホステスも別にエライと思ってくれるわけではありません。

 肝心なところでお金を使わないケチは大成しないが、ムダを嫌うケチであれば、それは見習うべきでしょう。彼らのその辺のけじめのつけ方は、徹底していて実にお見事です。